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舞台「星の王子様」感想

星の王子さま感想

 

 3月に大阪心斎橋であった音楽劇の星の王子様をみてきました。

 感想がやたらと遅くなってしまったんですが、いまさらアップ。

 

 総評は、夜の絵本の読み聞かせの様な舞台だなと思いました。

 しっとりとした調子で、バランスの良い音楽劇でした。

 

 音楽劇と聞いてきたので、本格的なミュージカルかな?と思いながら、しかも星の王子様の原作もほぼ忘れた状態で当日を迎えました。
 予備知識ぐらい入れていけよ、と突っ込みたいところになるんですが。

 幼少期に星の王子様のアニメ(記憶が定かでない)を見て、怖く思ったことだけが記憶に残っていました。何に怖がったのかが思い出せないものの、今回観劇して(ああ怖いかも)と思うシーンもありました。

 

<あらすじと一緒に語る>

 まずは操縦士の登場、回想から…飛行機の墜落シーン。
 はちゃめちゃ顔のいい操縦士ですね(小松準弥さん)、いい人、常識人という感じがします。


 登場した星の王子様(キム・ヨンソクさん)は、その容姿のすらっと長身の甘いマスクをオーラの様に帯びつつも純真さを醸し出していて、なぜだかにやにやしてしまう。

 素直さ純潔さに、追いつけず笑ってしまいます。

 

 戸惑う操縦士は、素朴に『大事な事はなんだ?』と問いかける王子様の旅の話にだんだんと夢中になってくる。最初こそ、箱につめた羊の絵を描くという変人対策的なスルースキルを発揮していたものの、はやり王子様の魅力ゆえかなと思いました。
 その表情の変化が、ぜんぜん唐突に感じなかったのがすごい。

 

 王子様は幼いはずなのに、薔薇の花とたいそう大人な恋愛をしていることが劇からも十分と伺えました。
 薔薇のツンツンとした態度に、ノイローゼっぽい反応を返しているのも、愛の感情に放浪されている感がでていて、とてもいいですね。薔薇は序盤しか出てこないけど、このガラスのケースがあることをアニメで知っていたので、なんだかワクワク。

 

 王子様の冒険の最初の星は王様の星。
 一人きりで権力と命令に酔う星。ああ~こういう大人いるよね~!みたいなシリーズを見せられているようで、耳も痛いのに、笑ってしまう。

 紳士の星。(一之瀬嘉仁くん)
 紳士は称賛がほしい、人に認められてかつそれを表現してもらわないと不安で仕方がない。こういう大人いるよな~!、と思いながら背筋がぞわっとします。

 「心から称賛しているのか?」と問いかけるの、ずるいですよね。

 そして迫ってきて、めちゃくちゃ怖いんですよ。ライトの演出ばっちり。一之瀬くんの声は低くて聞きやすく、簡単な設定の紳士に奥深さを与えていたと思います。
 帽子とステッキの小道具がいい味だしてました。

 酔っ払いの星をすぎて、実業家の星。(また一之瀬くん)
 実業家は星を数えて自分の資産にしているという、いかにも視野の狭そうなキャラ。その偉大さが、宇宙の広さもあってかかぜんぜん伝わってこない。

 王子様もポカンとするのも分かるし、観客も(たぶん読者も)「なんのこっちゃ」と滑降さを感じます。その距離をとって良くみれば、おかしなカッコつけキャラがとてつもなく出ていて素敵でした。小道具の持ち物が単眼鏡だけというのも、それだけに人生をかけてきた人というのが強調されていいですね。

 あと個人的には、ベストは反則級にかっこよかったです!!!


 ガス灯をつけては消す星。はるか昔に決めたことを、いつまでも不思議がらずに守ることのおかしさ。星の王子様を通して、そういう現実世界の「かっこわるさ」を見せられていて辛い。

 星の王子様は、異文化の存在なので「なんで?」と問えるのがうらやましいなと、観ながら感じていました。


 地理学者の星。ここでまた一之瀬くん。

 これだけお二方でキャラを交互に演じているのも、演じ分けている部分を見る楽しさがあって演出凄く好きでした。おひげが似合ってます。声が低いからか、変装してても違和感を感じないんですよね…。

 

 

 星の王子様て、こんな哲学的な?疑問提示するような話だったことにまず見ながらウンウン頷いているので、今まで私は物語の表層しか味わってなかった気がして悔しい。

 そして観劇で、活字以外の表現からそれを知ることができたというのが、貴重で嬉しい体験でした。

 

 キツネと王子様のシーン、ライトの効果もあってか、星をめぐっていた時と違ってさわやかなブドウ畑とかお花畑を想像できました。役者さんが演技で背景を幻想で(スタントみたいな?)見せてくるってやばくないですか!!!!

 私はドキドキしました。

 同年代?の友人の様な関係性を気付いているキツネと王子様、かわいい。なのに王子様は自分の星に帰るために、別れてしまう。

 

 蛇の登場シーンで、星の王子様って怖いと思っていたのはこの場面だったのかもと思いながら。「かわいそうになあ」の歌に、ゾッとする。

 しかも蛇の言葉の示唆は王子様に「殺して、軽くしてあげるよ」って言ってる。

 大人になって分かるわけですよ。子供の頃に気付くことが無かった裏の意味?をまじまじ理解すると、蛇の表情と王子様の苦悩の顔もあいまって、心の中で(怖ええええ)ってなりました。

 最後に残された、飛行士の語り。切ないな、と思ってるのに、さわやかな雰囲気でした。重たくない終わり方が童話調で、最後にぐっと心をつかまれました。

 

 

 全体的に軽く、深く、染みる作品だなと思いました。一回といわず何回か観たかったですし、星の王子様のストーリーは年をとってからの方が、理解できる部分も多かったです。

 終始和やかな雰囲気で、会場もよかったです。またやって欲しいな。夜に見てすごく似合う演目でした。

 

 そしてその後、一緒に見に行った友人とフレンチお好み食べながらめっちゃ語った。楽しかった~。

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オサレ~なフレンチお好み焼