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日々の幸せなことしかまとめない。

みんな人間一年生(しごとのこと)

「みんな人間一年生」

 


 面白い社員が同じチームにいます。
 今春、私と彼の人はここで仕事を始めたばかりです。

 コミュ障のチームに、コミュ障のメンバーが増えた。
 チームチーフと、前回書いた「できるところからしよう」さんが元からいるんですが、長+社員さんだった体制に2人増えた、ということになります。

 …が、結果、全員人間一年生、という感じです。


 彼の人、初登場の印象。
 全くしゃべらない。
 それは、おかしくない。そもそも無駄口が多い私の方が違和感のある社風なのです。そこに違和感は全くなかったのです。

 なんとなく、ニヒルな印象の笑い方で戸惑わせてくるところから、コミュニケーションが正常にとれないことに気づく。
 笑い方が下手では、と思ってしまう人に生まれてこのかた初めて会った。
 どうにも形容しがたいニヤついた笑みに、聞き取れないほどの小声。私はその笑みに、適切な反応が返せない。人間笑うのが下手って…こ、こうなるのか………???
 仕事を頼む時の「お願いします」も、終わったあとのお礼も、私の方ではなくて明後日の方を向いている。
 だれ?だれに言ってるの?なんか私の斜めの方になにか見えます?!!!??

 だ、誰か教えて…霊視かお祓いして欲しい。

 

 彼の人の仕事ぶりはというと、本当にいかんともしがたい感じになっています。
 私の機嫌が悪い日は怒りの種になることもしばしばです。


 私も新卒の時、電話が苦手だった。最初。本当に。ガチめに。
 皆通る困難だから!とSADの手の震えを薬で押さえつけて、なんとか…あのとき怖さを克服できたのは本当に得難い幸運でした。

 彼の人。
 半年たった今でも、チーム担当業務の電話の代理応答でも、「私は担当じゃないので」と断る。
 チームを意識していたなら出れた気がするが、なぜか他チームの先輩社員に「担当は不在です」と応答させてしまう。
 繰り返すこと、インフィニティ。ちょっと…不敬がすぎるじゃないですか。

 担当じゃないのでわかりません問題はなかなか大きくて、担当じゃない原稿の更新具合を、他の人に教えてあげてと仕事代行依頼をメールで送ってくる。
 しかも担当とは言いますが、チームの作業メンバーは3人(長は書かない)。
 だからお前以外は他2人だろ、担当知らないはずはなく、名指しできる。聞けばいいんでないの??

 

 彼の人はいつでもボーッとしている。
 私はゴーストライターなので、自分が補助する人に指示をあおぐのが毎日です。伏線は自分で回収、仕事の見取り図ないので。
 なにやら社員さんに作業相談していると、彼の人は私の方をみては、ウンウン小さく頷いてくる。

 いや、私もよその会話を聞いているときにそれはやるけど、そんな微笑みながら何度も頷かれても。
 笑顔がコワイ、なんで笑うのですか、私へんなこと言ってる?
 その頷きや笑顔が視界にチラチラ入って来るんですが、あなた一度もこちらのタッグ2名を手伝ったことないよね?

 聞いていて「手伝いますよ~」ではなくて、面白そうに聞いていて、面白いときに遠慮なく笑っちゃうという空気の読めなさ。
 私は関西人なんだからギャグぐらい言うよ、だって皆会話しないんだもの、ふざけてないと気が狂うわ。
 

 タッグの相手の社員さんはわかってなくて、一生懸命私が説明してるときもこっちみてくる。すごい何度も頷いてくる。

 こっち見るな、自分の仕事に集中しろ。
 その「私はちゃんと聞いてますよ、説明分かりますよ」は、不要なんだ。
 手伝う関係性以外では。
 あなたテコでも手伝わないでしょうが、ここのタッグ2名がパニックなってても。

 そんな視線や、空気の読めなさで相容れないなー!と私は一方的にイライラとさせられる日々です。
 嫌ですね、チームなのでそんな感情なんて不必要ではないですか。
 いざというときに信頼関係ができなければいけないのに、視界をちらちらと邪魔をされる。試される私のキャパシティ、頑張って。
 きっと本人は私を苛立たせようなどという気はないだろうというのもわかっているので、余計にかわいそうに思います。

 でもやめて欲しい。彼の人にわかって欲しい訳ではなく、目の前の人に話してるんだ私は。

 いいか、こっちを見るな。

 


 彼の人は、あらゆる自分の役割をスルーしており、部署で一番の後輩であるということも忘れさせてしまう影の薄さを持ちます。

 担当係の先輩は呼び出され、同じ係の自分が呼び出されなかったという状況を長に指摘され、「じゃあ、行きましょうか?」と聞いてしまう。
 真面目に言って、失言ですね。

 そこは「私も行きます!」パターン。このパターンは体育会系なんですけど、「なんか呼ばれてないけど…行ってあげましょうか?」感がすごいことになってしまっていた。はっきりいって、不遜な雰囲気でチーム全員沈黙してしまう。
 皆彼の人に振っていいのか?だめ、なのか?パワハラ?と普段から首をかしげている様子です。

 
 彼の人は、業務中にアニオタwikiをPCブラウザの小さい窓で開いて読み漁っています。
 wiki系はこの仕事では使わないのが原則なのですが、なんで読んでいるんでしょう、隠すように小窓なんですが基本丸見えです。
 これならぐでたまの「あ~早く帰りて~」壁紙を設定しているシュールな状況の方がよかったと思えました。

 アニメ・漫画の資料はこのチームの作品・原稿に一切必要がないモノなので、PCに「アニオタwiki」が開かれている事実がちゃんと説明できない状況なのが憎らしい演出だなあと思います。
 いつか誰か「それなに!!!」って聞いてくれないでしょうか。
 昼休みにゲームをするのは全然いいとおもうけど(私は昼休み中はシエスタばっかとってる怠け者である)、ある日は絵を描いていた。
 なんだ?余裕ということなのか?


 くそう、感情を乱されて、悔しい。純粋にそう思います。

 こういう部分を互いに話題にのせて諌められないところも、チームのコミュ障集団具合を表しているなと感じます。
 長の上の人は、彼の人のアニオタwiki画面を3度見くらいしてた。

 バレてるよ、と止めてあげられるぐらいのチームになれるよう今後に期待します。


 まず、私はお祓いに行きますね。

 じゃないとこれからも明後日の方向に挨拶されちゃうのでしょう。

 


 チームチーフ(俗称:長)の采配が上手ければ、こんなことにかまけずに忙しくしてたかもしれないと思うこともあります。
 チーフはいわゆるコケシ。座ってるだけで一日終わるタイプ。しゃべらない。

 作品の行程管理ができず、チェック待ち一週間。

 原稿が本当にすすまない。
 そもそも終わった(書き方OKかどうかのGOサインが出たこと)かどうかもわからない、会話が生まれずなかなか聞きづらい。

 その沈黙具合には、私も「できるところからしよう」さんも手こずっていて、本当に路頭に迷う時もある。
 まあ、定時で帰りますけども。

 雰囲気に飲まれずに果敢に聞いた場合は、かなり時間を食われる難関コースな上に、チェックは終わっていない場合が多いです。
 脱線するから話題がいつのまにか変なところへ、気づかなかったら私はどんどん時間を消費。
 せまる締め切り。首が…!残業地獄へようこそ!!

 なにか要領を得ないことがあるのならば、その場で組み立てる補助はいくらでもするのに、いつも真っ白の模造紙の上に無言でなにかをもとめられるのです。

 

 魔法使いじゃないですし、エスパーでもありません。

 私はゴーストなんです、人間扱いされても困ります。