今回は、SAD(社会不安障害)の話を書きます。
もし検索でこちらに来た人は、個人の症状の話をしていますので参考にならないかもしれません…。
この前、職場で「人間になってみないか?」とお声がけを頂きました。
「人間になってみたいの?」と聞かれた一週間後。
ゴーストライターではなくて、自分で原稿を構成して作っていくライター側に回らないかということです。
嬉しかった。
そう言ってもらえるだけで、色んな感情が浄化される思いがしました。
今まで仕事上、あまり不利な立場に置かれることがなく過ごしてきました。とてつもなく仕事運に恵まれていると思います。
そうやって、ゴーストライターとして安心できる立場で仕事にあたってきました。
ゴーストライターを辞めるということは、たくさんの怖い未知のシチュエーションに出会うことになります。
お金はもっとくれるんですけどね。
SAD(社会不安障害)を発症したのが、いつかは診断がでていません。
いつのまにか、『怖いなあ』という感情に自分が振り回されていました。
しかも、病院で先生に言われるまで、自覚が出来ていませんでした。
例えば、就職面接。
診断前。
(何となく、面接が怖い…練習すら想像で何となく怖い)
⇒自分の症状を理解してないための回避行動で、面接練習できず、壊滅的な面接惨敗。
スカイプ面接で震えすぎて、声が終始ビビビビビってなってましたしね。対面だと声消えてたり、支離滅裂だったり。
病院の先生に、「それ異常な反応になってる、SADかなとおもう」と言われた後。
(面接が怖い、そもそも怖い。練習もベロが回らん、怖い、怖すぎる。ああ、どうしよう)
⇒回避行動はしなくなるが、想像ですでに怖すぎて練習にならない。
『怖い』と感じることを具体的に理解できて対処出来る知識はついたのですが、何よりもただやっぱり色んなものが怖かったです。
面接の練習相手は身近な人に頼めず、ハローワークに頼みました。初対面の方が、気が楽だったので。
ハローワークで求人探しではなく、面接練習とメンタルケアに重点、この使い方考えついたのは幸運だった。
就職はとりあえず面接のハードルが越えられるところに照準を当てました。
面接回数は少ないところ。面談から入るところ。集団面接は避ける。etc...
練習しても怖くて本番泣きだす可能性がある。更にそんな事実に怖くなって練習を辞めてしまうかもしれない。なので、いろいろ無理に気負いしないように。
結果は良かったです。
民間の会社で、福利厚生が完ぺきとは言えなかったのですが、居心地は良かったです。(今は違う会社にいます。)
身の丈でのんびりできる会社で、大切に研修していただき、電話応対の難関ハードルを越えさせてもらいました。
この面接とか試験怖い問題は、家族に相談したことがあるんですが、私の事情(SAD)を知らないのでバカにされてきました。
確かに、出来ないことに練習は必要です。
失敗を乗り越えてこそ、物事の完成度は上がります。その考えに同意します。
SADだと先生に言われるまで、私は自分も『怖さ』の理由がわからなくて、乗り越え方がわからず、ずっと回避してきたわけです。
回避行動こそ乗り越えなければいけない一番の大きな壁なのに、です。
もし、就職面接が怖いと思う方は、ハローワークの面接練習も一つ選択肢だと思います。
プロの方でアドバイスと褒めの線引きしっかりしてますし、身近に知り合った人間にキョドった自分を見せたくないと思うタイプに合うと思います。
さて、この社会不安障害、病院でしっかり診断されてしまったけど、薬はないんですね。
抗うつ剤、変えたんですけど、どれも何ももたらさず。
最初デパスがスタートで、SSRI(パキシル、レクサプロ)、最後SNRI(サインバルタ)、今も補助要員でサインバルタだけ飲んでます。
私の場合、薬飲んでも急に来た声の震えが止まらない。
たぶん当時、デパスかレクサプロだったと思います…。
論文発表の日、何度も暗唱していたのに、マイクの持つ手と声が常にブルブル震えていたので、傍聴の先生が怪訝な顔。
私も、自分で抑えようとしても、胸に手を置いたら常にブルブル言ってるんですね。
無意識で、治らない。手も声もしゃべってる間だけバイブレーション。ウィウィウィウィ…みたいな。
もう薬効かない、発作が来たらずっと震えてる。
(仕方ない、しゃべるしか、時間が決まってる発表は詰まったら内容が終わらない!)
と、震え声のまま進行しました。
終わったら「ふ、震えてたの、大丈夫?」とゼミの人に心配されました。ははは!
社会人になってからの電話応対も、怖かった。一か月格闘しまくりました。
他人に自分の姿を見られるのが怖い、注目もされたくない、見られるの怖い、ということで、頼りない応対聞かれているかもしれないシチュエーションは地獄なのです。
(そしてこの頃、サインバルタとコンサータが導入されました)
荒療治方式で休日出勤の人が少ない間に出まくる、という荒業をやり、3か月目入ったところぐらいで大丈夫になりました。
新人電話対応遅ぇよ!と、言われてそうですね。
本当にすいません、でも、乗り越えさせてくれて、ありがとうございました。
この電話応対のハードル越え、私にとってはすごく大切なものになりました。
「人間にならない?」の話に戻ります。
なんでゴーストライターをやっているか、というのは、まあ『怖いから』なんですね。
採用面接のときに、「キミ、ゴーストライターで来たけど、普通に人間としてでも書けるだろ、正社員採用に切り替えようか?」と聞かれました。
ヒャーーーーー!やめろ、そんなハードルを急に上げて!
恐怖、再来。
私は脳内パニック。
(魅力的な響きだが、正社員面接の通過難易度は当然上がる。しかもゴーストライターを募集しているのに何故あえて正社員採用で私はしゃしゃりでちゃうのだ、需要と供給があってないよな。私は短期の業務委託で食いつないでいて、来月ここを受からないと無職。受からないと道がない。いや、そもそもちゃんと正社員になるほどの背景の素養がない。どんな言い訳をすれば素養がないのに応募したのかと相手を納得させられるのか…)
応募した仕事は大好きな種類のもので、念願かなっての仕事でした。
もはや、居られるならば書けるならどんな存在だって構わなかったので、SADパニック出る前の決断しかないです。…そのまま、突き通す!
で、結果ゴーストライターとなりました。
なので、職場になじんだ後に「人間にならない?」のお誘いは、本当に泣くほど嬉しかったです。
ゴーストライターは、いつか切られてしまうかもしれない、束の間の幽霊。
誰の影の存在から、地に足をつけて影を持つ存在になれれば。なれれば、ですけども。
この不安と恐怖だらけの人生は少しマシになるかなと願っています。
「あなたは、専門的な学部も出ていなくて、研究テーマも全くこの業種と違った。今まで違う業種で違う仕事、この会社でどう役に立つか考えてる?」
私の今いる業種。
面接でも相談でもコレをいつも言われて、経験不足故にイメージに限界があって、『相手の正答』が述べられない私はいつも『不採用』でした。
面談でも『君の専門は知っているが、仕事の役にはたたない』と言われる。…私はそもそも自分の専門、お金になるとは思ってない、だって人間の不幸の上になり立つ事象が研究テーマだったのですが…。
もう、このパターンの不採用自体が怖いし、もうこの問いすら最強に怖い。
そうやって、『君はライターにはなれない』と間接的に言われてきたことが、鎖になって何重にも私の身体に巻きついてきました。
私は「人間になってみないか?」の話の際に、「私は、研究テーマも違いますし、専門の素養はありません…」とネガティブ発言をしました。
鎖が重くて、なれるとは思えないから口をついてしまいました。
上席はそれを一言。
「うーん、関係ないと思うよ。もう、一年やったでしょ」
今まで、『素養は関係ない(だからチャレンジだよ!)』とは慰められたことは何度もあったのですが、『一年やったでしょ(一年間の仕事みてたぞ)』と言われたことはなかったです。
私は幽霊なのに、その時間は幻想ではないということを言って頂けて、嬉しかったです。
私の恐怖だらけの道のりのは、こうやって日々励ましを言って下さる人によって支えられています。